10生生第8の6号
平成10年8月14日


各都道府県教育委員会進路指導主管課長 殿

文部省生涯学習局生涯学習振興課長   
             寺 脇  研

文部省初等中等教育局職業教育課長  
             福 島  健 郎

専修学校の専門課程への進路指導について(通知)


 第142回国会で制定された「学校教育法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が平成10年6月12日法律第101号として公布されました。また、このたび、別途通知しましたとおり(平成10年8月14日文高専第185号文部省高等教育局長・生涯学習局長)、関連省令の一部改正等も行われました。
 今回の改正により、専修学校の専門課程のうち、修業年限が2年以上であることその他の文部大臣の定める基準を満たすものを修了した者(ただし、学校教育法第56条に規定する大学入学資格を有する者に限る。)について、来年の4月から大学に編入学することができることとなりました(学校教育法第82条の10)。
 今回の改正は、昨年の大学審議会答申(平成9年12月18日)を受けて講じられた措置ですが、わが国の高等教育制度の発展の上で大きな意義を有するものであり、また、生涯学習審議会答申(平成8年4月24日)にも示されているように生涯学習社会の構築の上でも重要なものと位置付けられます。
 専修学校への進路指導については、これまでも適切に指導していただいてきたところではありますが、大学への編入学が認められたことは、専修学校のこれまでの位置付けをも変える大きな改正であり、今後の進路指導の上でも極めて重要な事項であると考えられますので、下記の点に、今後、十分に御留意いただき、御了知の上、遺漏のないようお取り計らいください。

第一 専修学校の現状と位置付けについて
(1)学校教育法第82条の2に規定される専修学校については、制度発足以来、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的として組織的な教育を行う教育機関としてこれまで発達してきたところである。
(2)特に、専修学校のうち高等学校卒業者等を入学対象とする専門課程(以下「専門学校」という。)については、制度発足以来発展を遂げ、現在では、大学に次ぐ規模の生徒を抱える高等教育機関として成長し、教育内容の高度化・多様化も進んでいる。
(3)このような状況を的確に踏まえつつ、平素から専門学校教育の実態について認識を深め、より適切な専門学校への進路指導がなされるよう努められたい。
第二 専門学校の卒業者の大学への編入学について
(1)専門学校の卒業者は、今回の制度改正により大学への編入学ができることとなり(別紙1参照)、また、学位授与機構による学位認定の基礎資格としても認められることとなった。このように、編入学等に関して、専門学校は短期大学及び高等専門学校と並ぶ教育機関として法制度上も一層明確に位置付けられたところである。
(2)したがって、今後、専門学校への進路指導においては、専門学校において職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることができることのみならず、文部大臣の定める基準を満たす専門学校を卒業した後は、編入学等の手段により、大学において深く専門の学芸を学ぶ途も開かれたところであり、この点について生徒及ぴ教職員にも十分周知されたい。
(3)また、専門学校については、これまでも大学、短期大学等と並ぶ高等教育機関として進路指導上も適切に指導していただいてきたところではあるが、上記の点にかんがみ、今後、専門学校への進学については、高等教育機関への進学として進路指導上もなお一層適切に指導されたい。
第三 その他
 今後の職業能力開発施設の在り方に関する文部省・労働省の合意事項については、既に関係者に通知(平成10年3月31日 10生生第8の2号。別紙2参照)されており、進路指導担当者等を対象とする会議においてもその趣旨について説明がなされているところである。
 この合意事項等においても示されているように、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発校等の職業能力開発施設は、労働省所管の職業能力開発促進法に基づく訓練施設であり、学校教育法に基づく「学校」とは、全く異なる性格の施設である。したがって、職業能力開発施設からは大学に編入学することはできず、また、一般的には学士の学位の取得等もできない。
 このような点については、上記の通知や説明においても述べられているところではあるが、学校における進路指導上も十分配慮するとともに、生徒に対しても十分周知し、生徒が職業能力開発施設と学校とを混同することのないよう御配慮願いたい。